
お仕事を
されている方へ
制度・措置を
活用しよう
昨今、妊娠・出産に対して、国だけでなく、企業・勤め先の考え方は変わりつつあります。
その中で、妊娠中に受けられる制度・措置があるということを知り、
勤め先またはパートナーや身近な方へ相談しやすくなり、あなたも安心できるアドバイスをご紹介します。
頼りにしてほしい「母健連絡カード」
健診を受け、主治医から勤務時間の短縮や作業の制限、休業などの指導を受けた場合には、勤め先に申し出て対応策を実施してもらうことができます。
指導事項を勤め先にきちんと伝えることができるよう、主治医に「母性健康管理指導事項連絡カード」に記入してもらい、勤め先に伝えることも効果的です。
母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)とは
医師が勤め先に指導事項を伝えるツールです。主治医(産科医、助産師等)が記載し、あなたから勤め先に渡します。
母健連絡カードの利用のながれ
- 妊娠中または出産後に健診を受診
- 健診の結果、主治医などが通勤緩和や勤務時間短縮などの対応策が必要であると判断した場合、必要事項を記載した「母健連絡カード」を、あなたに渡します
- あなたから勤め先に「母健連絡カード」を渡します
- 勤め先では、「母健連絡カード」の記載事項に従い、通勤緩和や勤務時間短縮などの対応策を実施します
次のようなときは、健診などの際に主治医、助産師などに相談してみましょう。
- 妊娠中や産後に、身体的な症状が出て、仕事に影響が出るとき・出そうなとき
- 仕事の内容によっては、母体や胎児への影響について不安を感じるとき
妊娠中にみられる症状、診断(一例)

つわりも妊娠中にみられる症状のひとつです。
勤め先がしなければいけないこと
- 女性従業員から「母健連絡カード」が提出された場合、事業主は「母健連絡カード」の記載内容に応じた適切な対応策を実施する義務があります。
- 男女雇用機会均等法では、事業主に、医師からの指導事項を守ることができるようにするため、必要な対応策を実施することを義務づけています。(法第13条関係)
妊娠・つわり中の
勤務での法律や
制度について
妊娠中に感じるさまざまなつらい症状を少しでも早い段階から軽くして、安心して働くことができるように。
妊娠中の通勤や仕事についての法律や制度をご紹介。
妊娠中の通勤を緩和する
医師などから通勤緩和の指導があった場合、あなたから申し出ることにより、勤め先に通勤緩和のための具体的な対策を実施してもらうことができます。
具体的な対策とは…時差通勤、勤務時間の短縮、交通手段・通勤経路の変更 のこと
時差通勤
始業時間および終業時間に、それぞれ30分~60分程度の時間差を設けること
フレックスタイム制度を適用すること(労働基準法第32条の3に規定)
勤務時間の短縮
1日30分~60分程度の時間短縮
交通手段・通勤経路の変更
混雑の少ない経路への変更
- ※自家用車による通勤も通勤緩和の対応策の対象となります
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時差出勤の期間に決まりはあるの?
つわりがひどく、通勤電車の中で何度も気分が悪くなります。
体調にあわせて就業時間の短縮や、つわりの症状が続く期間は時差出勤をしたいのですが、適用期間に決まりはありますか。通勤緩和措置の適用期間は医師の指導によります。決まりはありません。
主治医や会社の産業保健スタッフなどに相談してください。
妊娠中の休憩に関する取りはからい
医師などから勤め先に休憩に関して取りはからってもらうように指導があった場合、あなたから申し出ることにより、必要に応じた休養や食事以外の栄養補給の時間をとれるよう、次のようなことを取りはからってもらえます。
対応策の具体的内容例
- 休憩時間を延長する
- 休憩回数を増やす
- 休憩時間帯の変更
など、法律により勤め先が取りはからってもらえることになっています。
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何回まで休憩の申請ができるの?
法律では休憩回数を定めていません。妊娠中の女性の健康状態には個人差があり、また作業内容も人によって異なります。状況にあわせて、勤め先の母性健康管理の関係者(人事管理部門、上司、健康管理部門、産業保健スタッフなど)と相談して、
1.休憩時間の延長
2.休憩回数を増やす
3.休憩時間帯の変更 など
取りはからってもらいましょう。
妊娠中または出産後の症状などへの対応
妊娠中または出産後の健診などを受診した結果、症状について指導を受けた場合は、勤め先に申し出ると、作業の制限、勤務時間の短縮、休業など、医師などの指導にもとづいた対策を実施してもらうことができます。
つぎの母性保護規定※1は、医師などの指導がなくても、勤め先へ申し入れることができます。
勤め先は母性保護規定を守らなければなりません。
- ※1労働基準法で定められている、妊娠や出産、育児にたずさわる女性を守るための制度のこと
妊産婦等の危険有害業務の就業制限
妊娠中、産後の女性(妊産婦)を、妊娠、出産、哺育※2などに有害な業務に就かせることはできません。
妊産婦にさせてはいけない具体的な業務は、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所での業務をはじめ、厚生労働省令で定められています。
このうち、女性の妊娠・出産機能に有害な業務については、妊産婦以外の女性も就業が禁止されています。
- ※2「授乳や食事をあげるなどして子どもを育てること」や「はぐくみ育てること」という意味があります
妊婦の負担が少ない軽易業務への転換
前屈み作業、長時間の立ち仕事、休憩が取れないなど現在の担当業務が妊娠した女性の身体的負担となる場合は、勤め先に申請すれば、会社はほかの負担が少ない業務に転換してもらうことができます。
妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限
妊娠中、産後の女性が請求すれば、時間外労働、休日労働または深夜業務が免除されます。
妊娠中、産後の女性に対する変形労働時間の適用制限
変形労働時間※3の場合でも、妊娠中、産後の女性が請求すれば、1日及び1週間の法定労働時間を超えての労働が免除されます。
- ※3変形労働時間制とは、繁忙期の所定労働時間を長くするかわりに、閑散期の所定労働時間を短くするといったように、業務の忙しさや特殊性にあわせて、勤め先と働く人が工夫しながら労働時間の配分などを行って、労働時間の短縮をはかろうとするものです
働きながら安心して妊娠・出産を迎えるために
産前・産後休業を取るときは
産前休業
出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から、請求すれば取得できます。(労働基準法第65条)
産後休業
出産の翌日から8週間は就業することができません。ただし、産後6週間を経過後に本人が請求し、医師が認めた場合は就業することができます。(労働基準法第65条)