母乳がもつ未熟な赤ちゃんを「守る力」
生まれた直後の赤ちゃんはとっても 未熟で
病原菌などの外敵から身を守るのが大変……。
だから母乳は、赤ちゃんの成長や発達を促すとともに、未熟な赤ちゃんを守る働きも担っています
母乳中の赤ちゃんを守る成分の働き
病原体の消化管への付着を防ぐ
赤ちゃんが飲んだ母乳は消化管で分解・吸収されます。
消化管には、栄養素のみを体内に取り込み、
病原菌やウイルスなどを体内に入れないようにする働きがあります。
消化管を通るのは栄養素だけではありません。病原菌など健康をおびやかすものも通ります。
病原菌やウイルスへの感染は、消化管の粘膜細胞にこれらが付着することから始まります。
母乳には、病原体に結合して消化管に付着できなくすることで、
赤ちゃんを守る成分があります。
母乳中には、200種類以上のオリゴ糖が存在します。
母乳オリゴ糖には、病原体が消化管細胞に付着するのを防ぐ働きをもつものや、
ビフィズス菌を増やすものがあり、赤ちゃんの健康に寄与しています。
消化管のバリア機能を高める成分
たんぱく質は消化酵素の働きでアミノ酸に分解されて吸収されます。
しかし、赤ちゃんは消化酵素の働きが弱く、たんぱく質を分解しきれないことがあります。
さらに、赤ちゃんの消化管には細胞と細胞の間に大きなすきまがあります。
そのすきまから病原体や未消化のたんぱく質が体内に侵入すると、
感染を起こしたりアレルギーの原因になったりします。
母乳には、消化管細胞の増殖を促すとともに、
細胞同士を密着させることで細胞間のすきま を小さくする働きや、
消化酵素を活性化する働きがあります。
母乳の働きで赤ちゃんの消化管が成熟化すると、
消化酵素が活発になるので、未消化のたんぱく質が少なくなります。
さらに細胞間のすきまが小さくなるので、
未消化のたんぱく質や病原体は体内に侵入できなくなります。
赤ちゃん自身の抵抗力を高める成分
母乳には、赤ちゃんのNK細胞*を活性化したり、消化管の分泌型免疫グロブリンA(IgA)**の産生を促したりする働きがあります。
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*:
ウイルスに感染した細胞などを攻撃する、リンパ球の一種。自然免疫(生まれながらに備わっているカラダの防衛機構)において重要な役割を担っており、体内でウイルスの感染拡大などを防ぎます 。
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**:
眼・鼻・喉や消化管などの外界と接する粘膜表面で病原体や毒素に結合し、それらの機能を無効化することによって、私たちのカラダ を守っています。