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母乳の「守る力」の源「オステオポンチン」とは

母乳には「オステオポンチン」という成分が含まれています。
雪印ビーンスタークでは、2015年から行った第3回全国母乳調査の成果を生かし、
粉ミルクにオステオポンチンを配合しています。
ここでは現在分かっているオステオポンチンの働きについてご紹介いたします。

オステオポンチンとは

オステオポンチンは、細胞が分泌するサイトカイン*とよばれるたんぱく質のひとつで、ヒトの体内組織の多くに存在します。特に臍帯血(さいたいけつ)**や乳児の血漿(けっしょう)***に高濃度に含まれ[1]、母乳中の細胞において最も多くつくられる (遺伝子発現する)と報告されています。

*:インターフェロン、インターロイキン、成長因子などの物質の総称。主に免疫細胞が分泌し、他の細胞に働きかける役割をもっています。
**:妊娠中のお母さんと赤ちゃんを結ぶ臍帯(通称:へその緒)と、胎盤の中に含まれる血液のこと。
***:血液から赤血球や白血球などの血球成分を取り除いた液性成分 のこと。

オステオポンチンの機能

生後間もない乳児は免疫機能が十分ではありません。
最近の研究では、母乳には母親由来の免疫細胞が含まれ、生後間もない乳児の免疫機能を助ける働きがあることが分かってきています。
なかでもオステオポンチンは、免疫細胞の活性化や機能抑制にかかわるサイトカイン関連遺伝子で、母乳中の細胞が最も多く発現することから[2]、 母乳の働きに関与していると考えられています。

「母乳オステオポンチン」に関する国際共同研究

オステオポンチンは乳児の免疫機能の発達に重要な役割を担っている成分です。しかしながら、母乳中のオステオポンチン含量を詳細に把握するための研究はほとんどありませんでした。
そこで私たちは、日本、中国、韓国およびデンマークの計629名の母親より提供された母乳を対象に、オステオポンチン濃度を大規模に調査する多国間共同研究を実施しました。800検体を超えた多国間での母乳とオステオポンチン に関する共同研究は世界初の取り組みとなります。
その結果、母乳中のオステオポンチン 濃度は国によって異なり、産後日数の経過に伴って濃度が低下することが明らかになりました[3]。

参考文献

  • 1 Schack L, Lange A, Kelsen J, et al. Considerable variation in the concentration of osteopontin in human milk, bovine milk, and infant formulas. J Dairy Sci. 2009;92(11):5378-5385.
  • 2 Nagatomo T, Ohga S, Takada H, et al. Microarray analysis of human milk cells: persistent high expression of osteopontin during the lactation period. Clin Exp Immunol. 2004;138(1):47-53.
  • 3 Bruun S, Jacobsen LN, Ze X, et al. Osteopontin Levels in Human Milk vary Across Countries and within Lactation Period: Data from a Multicenter Study. J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2018;67(2):250-258.
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