第3回全国母乳調査のご紹介

日本で初めて行われた、全国規模での母乳成分に関する総合的な調査である本調査では、619名の方から貴重な母乳をご提供いただき、その成分を26項目にわたって詳しく分析しました。分析の結果、母乳中のたんぱく質の量と組成、牛乳と日本人の母乳成分の違いなど、多くの発見がありました。それらを生 かし、日本の赤ちゃんのために、粉ミルクの改良を次々に行いました。粉ミルクを母乳に近づけるための研究は、成分分析だけでなく、その働きについても進められました。なかでも注目されたのが、いまではおなじみの「オリゴ糖」、「タウリン」といった成分です。母乳を飲んでいる赤ちゃんのおなかの中には腸内環境を整えてくれるビフィズス菌が多く存在しています。このビフィズス菌を増やす働きをするのがオリゴ糖ということが分かりました。一方、赤ちゃんの脳や視力の発達、脂肪の消化に大切なタウリンが、母乳中には粉ミルクの10倍も含まれていることが発見されました。これらの成分の重要性を明らかにし、粉ミルクに配合した弊社の取り組みが、今日では世界標準になっています。

第1回目の調査から約30年。昭和から平成へと移り変わり、食生活も大きく様変わりした頃、北海道から沖縄までの全国規模で夏と冬の2回に分け、第2回全国母乳調査を実施しました。集められた母乳は2,434名分、2,727検体。第1回の調査時に比べて分析手法も飛躍的に向上し、当時の最新テクノロジーで約180項目にわたって精度の高い分析を行いました。
その結果、30年前よりもお母さんたちのたんぱく質摂取量は増加し、母乳中のたんぱく質濃度も大幅に増えていることがわかりました。また、微量な成分の機能についても明らかになったことがたくさんあります。例えば、病原性大腸菌O-157やインフルエンザウイルスなどの悪玉菌から赤ちゃんを守ってくれる「ガングリオシド（シアル酸）」、脳の発達に大切なDHAを増やすなど赤ちゃんの成長に欠かせない「ヌクレオチド」、腸が未熟な赤ちゃんの消化管機能を発達させ、アレルゲンが体内に侵入するのを防いでくれる「リボ核酸」や「ポリアミン」など、赤ちゃんの発育を助ける母乳の神秘的な力が明らかとなり、弊社ではこれらの成分をいち早く粉ミルクに反映してきました。