離乳初期
(5~6か月頃)
生後5~6か月頃は離乳食をスタートする時期。首のすわりがしっかりして寝返りができる、5秒以上座っていられる、スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる、食べ物に興味を示すといったサインが見られたら、離乳食を開始していきます。ただし、お子さんの発達はそれぞれ違うため、ママやパパが悩みを抱えることもしばしば。
そんな離乳食の悩みや不安を解決するヒントを、乳幼児の栄養指導に長年たずさわっている管理栄養士の太田百合子先生に伺いました。
離乳初期(5~6か月頃)離乳食の悩み・不安
-
離乳食を始めるタイミングを教えてください。
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」では、
・首のすわりがしっかりして寝返りができる
・5秒くらい座れる
・食べ物に興味を示す
・スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる
上記のような特徴が見られたら、離乳開始の目安といわれています。これらの特徴が表れるのが一般的に生後5~6か月頃といわれていますが、赤ちゃんの発達には個人差があります。あせらずに、準備ができたタイミングで少しずつ始めていきましょう。
-
離乳食を食べさせようとしても口を開けてくれません。どうすればいいですか。
私たちは「食事がおいしいものだ」と知っていますが、初めて食事をする赤ちゃんは知りません。そのため「得体のしれないものだから怖い」ということもあるでしょう。まずはママやパパが離乳食を食べるまね、そしておいしいと感じる表情をしてみて、「今から口に入れるものはおいしいんだよ」と赤ちゃんに見せてみてはいかがでしょう。そうすることにより赤ちゃんも刺激されて「食べてみたい」と思い、口を開けるようになるかもしれません。
また、指しゃぶりをしたり、おもちゃをなめたりといった遊びを通して口元が刺激されると、口も自然と開けるようになるかもしれません。あせらずにいろいろと試してみてください。 -
口に入れた食べ物がよだれと一緒に出てきてしまいます。開始時期が早すぎたのでしょうか。
赤ちゃんの口の中は狭く、食べ方も上手ではありません。そのため、口から出てしまうことが多々あります。口に入れようとしても舌で押し出すことが多ければ、離乳食の開始にはまだ早いことが考えられるため、時期をあらためましょう。押し出すのではなくはみ出てしまう場合は、はみ出た部分をお口の中に戻してあげれば問題ありません。食べ方が上手になるとともに、はみ出さなくなっていきます。
-
いつも朝に離乳食をあげていますが、子どもの起床時間によっては、いつもの時間に食事ができません。そういう日はお昼に離乳食をあげてもよいですか。
問題ありません。なるべくいつもと同じ時間帯にあげたほうが安心感につながりますが、たまに時間帯がずれても大丈夫です。気にせず、お子さんの機嫌がよい時間帯に離乳食をあげてください。
-
おかゆを食べてくれません。パンや麺など、ほかの食材を食べていればOKですか。
もちろん、無理強いは禁物 です。おかゆを食べないから離乳食の段階を進められないというわけではありません。つぶしがゆにこだわらず、粒が残りにくいかぼちゃやじゃがいもポタージュなどの野菜やいも類で試してみましょう。
初めて食べる離乳食には、さまざまな消化のしやすい食材を試すという役割もあります。離乳食開始頃のおかゆは、ごはんをつぶしてつくる「つぶしがゆ」から始めますが、ごはんをすりつぶしていると、のり状になってしまうことがあります。のり状のおかゆはとても飲み込みにくいため、赤ちゃんが嫌がることもあります。水分を足して 濃度を薄くしてみるとよいかもしれません。 -
2回食を始めるタイミングを教えてください。
生活リズムが安定し、スプーンを近づけると口を開ける、口を閉じて上手に「ゴックン」と飲み込めるようになるのが、開始後1か月頃です。試す食材も増えて、食べることに慣れてきたら、さらに食べ慣れるように2回食にしてみてもよいでしょう。
参考資料
●「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」厚生労働省
●山本隆:「口腔の生理からどうしてを解く」デンタルダイヤモンド社,2007