幼児食
(1歳7か月頃~)
1歳7か月頃になると、そろそろ離乳は完了。幼児食に突入です。幼児食と聞くと「大人と同じようなものが食べられるのでは」と感じるかもしれませんが、まだまだ歯が生えそろっておらず、かむ力も弱いうえ、内臓機能も未熟な時期。引き続き配慮は必要ですが、食べられるものの幅はぐっと広がるので、食事の準備はだいぶラクになってきます。
そんな幼児食期の悩みや不安を解決するヒントを、乳幼児の栄養指導に長年携わっている管理栄養士の太田百合子先生に伺いました。
幼児食(1歳7か月頃~)離乳食の悩み・不安
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離乳食と幼児食の違いは何ですか。
1~2歳頃の食事は離乳食の延長なので、明確な違いはありませんが、徐々に授乳量が減り、最終的には食事だけで必要な栄養をとれるようになって心身共に著しく成長をする時期ですから、食習慣の基礎作りのために、「食」を生活の中の大きな柱としていきます。
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テレビ、動画を見ながら食事をする「ながら食べ」しかしません。テレビは消したほうがよいでしょうか。
ながら食べでとる食事は、子どもにとってはただお腹を満たしているだけで、食事の楽しさやおいしさを感じにくいです。食事を楽しむということを考えれば、テレビや動画は消したほうがよいです。ただ、一度ついた「ながら食べ」のクセを直すのは難しいもの。例えば、休日の日中に家族で公園に行って食事をする、「今日はベランダで食べてみよう」というような機会を作って、少しずつテレビや動画を見ずに食事をするのに慣れていくとよいかもしれません。「今日から食事の時はテレビ禁止!」と一気に変えるのではなく、少しずつ変えていけるといいでしょう。
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好きなものが家にあるのがわかっていて、そればかり欲しがって困ります。
食の好みが出てくること自体はよいことですが、子どもの好きな物ばかりでは栄養のかたよりから、む し歯、肥満、偏食につながるかもしれません。少しだけあげて「もうおしまいだよ」としても、子どもも知恵がついていますから、欲しいものを食べられるまで大泣きすることもあって、それに付き合うのも大変です。言い聞かせて我慢ができるようになるのは、3歳以降です。できるだけ与えたくない菓子類などは、購入しないか子どもの目に触れないようにします。食事のこだわりは、自然に食べるものが変化することが多いので、「こっちも食べてみない?」と言葉掛けなどで付き合いつつ長い目で見守りましょう。
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一日の中で食べムラがあって困っています。
多少の食べムラは問題ありません。大人でも、食べる量は一定ではありませんので、栄養バランスは1日単位あるいは1週間単位で見て、食べない時があっても元気なら心配する必要はありません。それでも心配なときは、少量でも栄養素がまんべんなくとれるような食事を用意します。規則的な生活リズムと食事の前はお腹が空くように散歩や体を動かすことをしてみるとよいでしょう。
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いつになったら大人と同じものを食べさせてもよいでしょうか。
「大人と同じもの」は、リスクの面から以下の3つに大きく分けられます。
・「食あたり」が心配な、刺身、生ハム・ローストビーフ等の生肉、アルコールやカフェインを多く含むものなど
・「誤嚥・窒息」が心配な、豆・ナッツ類、もちなど
・「塩分、糖分、脂質過剰」が心配な、ファストフード、スナック菓子、ジュースなど
刺身、生ハムなどは、もしも食中毒になった場合、子どもは大人よりも強い症状が出やすいので、厚生労働省は3歳頃までは避けることを推奨しています。与えるときは、新鮮なものを少量にします。
アルコールが多い奈良漬やかす汁など、カフェインを多く含む紅茶、緑茶などは腹痛などにつながりやすいので注意が必要です。
粒のナッツ類やもちは、3歳までは与えません。ミニトマトやぶどう、1口サイズのりんごなどツルツルしたものは調理の仕方を工夫する必要があります。
ファストフードやスナック菓子などは、一度食べるとつい欲しがってしまうもの。気になる場合は、子どもが口にする機会をなるべく遅くしましょう。
参考資料
●「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」厚生労働省
●山本隆:「口腔の生理からどうしてを解く」デンタルダイヤモンド社,2007